こんにちわ夫です。
本日より9月がスタートしましたね。
まだしばらく残暑が続きそうですが、朝夕は風が吹いていると涼しいなと感じるようになってきました。
家の中はというと、まだエアコンを連続稼働していることもあり、晴れていても雨天でも室温27℃台、湿度50%台で安定しております。
さて、ここ数回、我が家の緑の柱が割れてしまったことや、それに関連したコシイプレザービングさんとのやりとりなどをご報告しましたが、本日は「緑の柱」について書きたいと思います。
緑の柱とは
木造住宅用の構造材に薬剤(木材保存剤)を加圧注入してできた少し緑色をした柱で、(株)コシイピレザービングさんから供給されています。
HPはこちらです。
http://www.house-g.com/about/index.html
この技術、自然公園などで使用される木道やベンチなどを長持ちさせるための技術と同じ保存処理技術が使用されています。
国立公園や国定公園などの自然豊かな地域は気象変動も厳しく、風雨や積雪、低温・高温にさらされます。
普通の木製の工作物は腐朽菌やシロアリ被害に合い、わずか数年でボロボロになってしまうということもしばしば、、、。
ところが、これらの木材に保存処理をすることにより、野外の木製工作物でも長く自然条件に耐えうるものとなります。
環境省の「自然公園等施設技術指針(H30.5改定)」においても、「木造施設については、原則として加圧式保存処理材等を使用 し、長寿命化を図る(第3章 施設の長寿命化)」とされています。
http://www.env.go.jp/nature/park/tech_standards/02.html
このように木材を長持ちさせる技術を住宅にも流用しているのが「緑の柱」です。
ウェルネストホームで家を建てる場合、標準仕様では以下の図のように1階部分に緑の柱が用いられます。
(図の出典:(株)コシイプレザービング)
そして、基礎や配管周りなど床下の防蟻対策まで含めた施工がハウスガードシステムとなります。
我が家は標準仕様の1階部分のみが緑の柱ですが、いろいろなシロアリ被害のデータから見ても十分な効果が見込めるようです。(現にシロアリ被害は出ていないんだとか!)
そして、金額はアップしますが2階部分まですべて緑の柱を用いて建築することもできるようです。
緑の柱(ハウスガードシステム)で家を建てるということ
防腐、防蟻効果
緑の柱のメリットはというと、まずは腐れやシロアリに対する防蟻効果です。
薬剤自体の持続効果は屋外での試験が続けられておりますが、推定で100年以上と紹介されています。
家を長く持たせるためには、腐れやシロアリに対する対策がまずは重要です!
日本の住宅寿命が短いのは、まずはこれらの腐れやシロアリに対する対策が十分でないことがあげられます。
建築時の耐震性が長期間維持
そして、腐れ、防蟻効果とともに重要になるのが、「耐震性能の維持」という問題です。
現在、建築時には耐震等級2、もしくは等級3 などという用語をよく耳にします。
恐らく今のご時世で、耐震性能を気にしないで家を建てる方はほとんどいないのではないかと思います。
しかし!!
この耐震性で示される等級はあくまでも建築時の性能であり、その「耐震性能がいつまで持続するか?」ということにはほとんど触れられていません…。
建築から20~30年が経過している木造住宅では、高温多湿(夏)や低温(冬)の繰り返しで柱は傷んできますし、腐れやシロアリなどの被害が生じていれば、大きな地震が来ればすぐに建物が倒壊してしまう恐れがあります。
この緑の柱のメリットは、薬剤の加圧注入により 木材自体の強度が増し、腐れやシロアリ被害を防止することで建築時の耐震性が長期間維持される という点にあります。
日本は高温多湿と低温が繰り返される環境ですし地震大国です。しかも、家の周囲には普通にシロアリが多数生息しています。特に空き家周辺などはシロアリには要注意です。
こういった日本の風土や特性にも対応できうる防御策だと感じています。
国産の自然乾燥材が使用される
木材を高温乾燥してしまうと柱にダメージが生じ、施工時の強度が最高点でその後はどんどん劣化が進みます。
一方、自然乾燥材では100年後以降に最大強度になり、その後も長い期間強度が維持します。
家を長持ちさせるためには、できるだけ自然乾燥材を使用したいところであります。
しかし、自然乾燥材は乾燥に時間がかかり供給面での問題があるほか、建築後も乾燥が進み反りやひび割れが生じやすいなど扱いも難しいようです。
ところが、反りやひび割れに関しても木材保存剤の加圧注入処理は有効であり、コシイプレザービングさんでは供給面の問題にも粘り強く取り組まれており、国産の天然乾燥材を供給していくシステムが確立されています。
個人的にではありますが、自然乾燥材に木材保存処理がしてあるのですから、「スーパー柱」とも言うべき、素晴らしい構造材であると思います。
また、国産材を使用することにより、その地域の森林の再生産が行われ、地域経済の活性化と森林保全にもつながります。
安い外材で家を建てた場合、イニシャルコストとしては一時的に助かりますが、どんどん国外にお金が出て行ってしまいますので、ゆくゆくは経済が縮小してしまいます。
自分たちの建てた家が国産の自然乾燥材を使用しており、地域の経済活性化につながっていると分かると嬉しいですね。本当に素晴らしいことだと思います。
国産材を使用することによる地域の森林再生と経済活性化はどんどん広がってほしいです。
5年ごとの防蟻剤塗布処理をしなくていい
通常の場合、防腐・防蟻のための薬剤・殺虫剤を塗布しますが、その薬剤の効果は5年で切れます。
シロアリの脅威に備えるには、5年毎に塗布処理を継続していかなくてはなりません。
その再塗布費用がかさむことはもちろんですが、私が一番気になるのは「健康への影響」です。
私は偏頭痛持ちでしたし(過去形です!)、喉など呼吸器系が弱い方なので、このあたりには敏感にならざるをえません。
一方、緑の柱はこのような薬剤は使用していないので、健康面で安心できるところは大きなメリットです。
使用されている薬剤はどんなものなのか
やはり気になるのが、使用されている薬剤ですよね。
使用されている「マイトレックACQ」という薬剤では、塩化ベンザルコニウムと銅化合物が主成分であるとHPで説明されています。
塩化ベンザルコニウムは手や指を殺菌消毒する一般的な消毒薬であり、危険性の少ない薬剤です。
そして、銅化合物の「銅」こそが、この薬剤の殺菌作用の主体です!
銅と言えば、、、銅のサビである緑青の毒性について何となく悪いイメージがありますが、これ、どうも誤解のようです。
実際に昔の小学校理科の教科書には「緑青には毒性がある」と書かれているようですが、厚生労働省の研究結果では
「無害に等しい」と認定されています(以下の※1)。
余談はさておき、
「銅」は調理器具にも使われている金属で、我々の体の健康を保つために必要不可欠な必須微量元素です。
そして、銅には悪い細菌類を死滅させる性質があり、O-157やノロウイルス、インフルエンザウイルス、レジオネラ菌などを抑制する効果があります。屋外では蚊の発生を抑制する効果もあるようです。
その殺菌作用はシロアリや腐朽菌に対しても大きな効果があります。
この薬剤はこれらの「銅」が持つ本来の効用を利用しているだけで、人体に有害な殺虫剤を使用しているものではないので非常に安心です。
※銅について詳しくは、「一般社団法人日本銅センター」のHPで紹介されています。上記(※1)も記載されています。
http://www.jcda.or.jp/feature/tabid/86/Default.aspx
水溶性薬剤の中では銅イオン
またまた余談ですが…
使用されているACQという水溶性の薬剤では、銅はイオンとして水中に溶けており、そのイオンが木材の細胞の中に浸透していくことで木材の保存処理ができます。
このACQに関連して、国外で使用されているMCQという薬剤の名前も耳にするところですが、このMCQも銅を利用した保存剤です。
ACQとの違いは緑色をしていないことと、ACQに比べて銅の粒子のサイズが大きい点です。粒子サイズが大きいとどうなるか!? 木の細胞に浸潤していくには粒子サイズが小さい方が有利であることは明白ですから、ACQに比べて薬剤があまり浸透しないのではないかと考えられます。
薬剤の色に関しては、ACQは緑色をしているので木材への浸潤が分かりやすくていいと思います。緑の柱は見た目にも綺麗ですし(^^♪
そして、この薬剤の浸潤効果はスギ材で高く、他の木材では浸潤しにくいようです。恐らくこれにも細胞膜の孔のサイズと銅の粒子サイズが関係しているものと思われます。
ACQのデメリットとして、金属を腐食させやすいことが挙げられていますが、クギは錆びたところで新品とほとんど強度が変わりません。むしろ、表面がサビることで木材との摩擦力が高まり、より構造物の強度が上がるという試験結果も出ていますので、これは見た目の問題かなと思います。とはいえ、サビに抵抗がある方のために、コシイプレザービングではコーティングしたクギや金具も選べるようになっています。さすが対応の細かさです。
まとめ
緑の柱については、木造住宅を長寿命化させるための要素が盛りだくさん。
今後、こういった木材保存処理材による建築は増えていくのではないかと感じています。
本日は緑の柱に関して、これは凄いな!と感じている内容を書いてみましたが、性能の良い木造住宅が長寿命になることは、本当に大きなメリットだと思います。
新築から30年後、体は元気なのに住宅の建て替えが必要になってしまった。しかしもうお金がない・・・
と途方に暮れることがないように、長寿命の家は増えてほしいです。
低燃費住宅のキャッチフレーズで「やがてこの子を守る家」と謳われていますが、ただそこに住む人を守る「箱」としてだけではない、その言葉に込められた多くの想いが見えてくると感じました。